マスフローコンベヤ

概要と主要な概念

マスフローコンベヤは、大量のマスフロー単位のフローをシミュレートすることができます。コンベヤでは、各離散単位のシミュレートではなく、流体に類似したロジックを使用します。数千のボトル、カートン、またはその他の小さなピースを個別にシミュレートする代わりに、製品の密度を処理します。たとえば、個々のカートンの占有面積が0.05m x 0.05m(0.0025 m2)の場合、そのカートンに適用可能な最大カートン密度を求めると、0.0025 m2あたり1カートン、つまり400カートン/m2になります。この場合、コンベヤの幅と速度を使用して、その最大可能フローレートを時間単位あたりのカートン数で求めることができます。これらの計算結果を踏まえて、コンベヤはこれらのカートンのフローをシミュレートします。その際には、個々のカートンを追跡するのではなく、速度、上流および下流の可用性など他の要素の変化から生じた密度変化だけを追跡します。

上記のアニメーションでは、多くの「単位」が描画されていますが、実際には描画上の見せかけに過ぎません。レンダリングエンジンは、コンベヤ上の特定ポイントの密度に基づいてボトルを描画しているだけで、各ボトルを実際にシミュ―レートしているわけではありません。むしろ、オレンジ色の線の移動のみが実際にシミュレートされている要素です。これはコンベヤ上の密度/レートの変化を表しています。この方法により、個々のボトルのシミュレーション速度が大幅に改善されます。

マスフローコンベヤは、ボトル飲料や食料品の生産、その他の高速/大量生産の設定で特に有用です。これらの環境では、製品の量が莫大で、各ピースを個別にシミュレートすることは不可能なためです。

動作

フローを生成する

コンベヤ上のマスフロー単位のフローを生成するには、2通りの方法があります。最も簡単な方法はコンベヤの生成レートプロパティを定義することです。この値がゼロでない場合、コンベヤはフロー単位のソースとして機能します。シミュレーションを開始すると、フロー単位は即座にコンベヤ上で移動を開始します。

コンベヤ上のフローを生成する別の方法は、マスフロー入口の転送を使用することです。このオブジェクトは、任意の固定リソースとコンベヤへの「A」接続によって作成できます。作成後、離散フローアイテムをフロー単位に変換する方法をプロパティで定義できます。

フローを下流に分配する

コンベヤが複数の下流コンベヤを持つ場合、下流コンベヤに移動するフローをどのように分配するかを選択する必要があります。これは、アイテムが固定リソースからリリースされたとき起動するポートに送信ロジックに似ていますが、シミュレートされている離散アイテムはありません。マスフローコンベヤは代わりとして、離散ルーティングの決定ではなくフローレートのバランシング計算を伴うアルゴリズムを使用する必要があります。

マスフローコンベヤは次のアルゴリズムを使用してフローを下流コンベヤに分配します。

  1. 下流コンベヤを並べ替え:コンベヤは、一連の下流コンベヤを上流の出力順序プロパティの昇順に並べ替えます。たとえば、上流の出力順序の値1は、上流の出力順序の値2の前に並べられます。
  2. 相互に関連付けられた複数の下流コンベヤ間でフローを分配:上流の出力順序の最小値から開始し、同じ上流の出力順序を持つ下流コンベヤの各グループについては、コンベヤはそのコンベヤグループ内で出力フローを均等に分配します。この分配は、下流コンベヤの幅によって重み付けされます。たとえば、あるコンベヤには上流の出力順序の値1を持つ下流コンベヤが2つあり、それらのコンベヤの1つが幅0.5m、もう1つのコンベヤが幅1mだとします。ここで、コンベヤがフローレートの3分の1を0.5mコンベヤに、フローレートの3分の2を1mコンベヤに送るとします。それらのコンベヤの1つ以上がそのフローレート量を受け取れない場合(たとえば、速度が遅いため)、ブロックされた量がグループのその量を受け取れるコンベヤの幅で重み付けされて、それらのコンベヤにおいて再分配されます。
  3. 次の上流の出力順序に進む:現在の下流コンベヤグループが取り込まなかった残留フローがある場合、次に高い上流の出力順序の値を持つコンベヤグループにコンベヤが進み、ステップ2の分配計算を再度使用します。これは全コンベヤの出力フローレートが下流コンベヤに割り当てられるか、全下流コンベヤがその最大フローレートを受け取るまで進められます。
  4. 過剰分の集積/損失:下流コンベヤに割り当てられなかった残留フローがある場合、コンベヤはこの過剰分を集積するか、損失分(あたかも製品がコンベヤ端から落ちたかのように)として追跡します。これは、過剰分プロパティの設定によって決まります。

イベント

マスフローコンベヤには、標準イベントセット以外のイベントを設定できません。代わりとして、フォトアイを使用してコンベヤロジックを定義することができます。

イベントの詳細については、「イベントリスニング」ページを参照してください。

状態

統計的な目的で、コンベヤは、シミュレーション実行中、さまざまな位置で次のいずれかの状態になります。オブジェクトをクリックし、[プロパティ]の[統計]パネルを表示すると、現在の状態を表示できます。

コンベヤにアイテムはありません。

搬送中

コンベヤに少なくとも1つのアイテムがあります。

停止

コンベヤに少なくとも1つのアイテムがありますが、コンベヤの速度はゼロに設定されています。コンベヤは、速度がゼロに設定されると(ゼロに減速し始めたときなど)すぐにこの状態になります。

統計

コンベヤは以下の統計を追跡します。これらは、オブジェクトをクリックし、[プロパティ]の[統計]パネルを選択することで表示できます。

コンテンツ

コンベヤのフロー単位の数。

入力

コンベヤに入ったフロー単位の総数。

出力

コンベヤから出たフロー単位の総数。

損失

過剰分]プロパティを[損失として追跡]に設定している場合、この統計は、下流コンベヤを進まずにコンベヤ端から脱落したフロー単位の量を追跡します。

プロパティパネル

マスフローコンベヤでは、次のプロパティパネルを使用します。

プロパティ

マスフローコンベヤは、次のプロパティを使用します。

プロパティタイプ
AlignToSideオプション
EndLocation配列(3)
速度単位
StartLocation配列(3)
UseVirtualLengthブール値
VirtualLength単位
Visualizationノードオプション
Width単位
ExcessModeオプション
GenerativeFlowRate数字
GenerativeFlowUnitオプション
UpstreamOutputOrder数字
  • AlignToSide
  • ConveyorEndLocation(エイリアス EndLocation)
  • ConveyorSpeed(エイリアス Speed)
  • ConveyorStartLocation(エイリアス StartLocation)
  • ConveyorUseVirtualLength(エイリアス UseVirtualLength)
  • ConveyorVirtualLength(エイリアス VirtualLength)
  • ConveyorVisualization(エイリアス Visualization)
  • ConveyorWidth(エイリアス Width)
  • ExcessMode
  • GenerativeFlowRate
  • GenerativeFlowUnit
  • UpstreamOutputOrder

直線マスフローコンベヤは、次のプロパティを使用します。

  • ConveyorHorizontalLength

曲線マスフローコンベヤは、次のプロパティを使用します。

  • ConveyorRadius
  • ConveyorStartAngle
  • ConveyorSweepAngle