データ収集方法
モデルに適切なデータを入力する
モデル(出力)から良好なデータを得るには、モデル(入力)に適切なデータを確実に入力する必要があります。たとえば、特定の処理の実行に要する時間や、顧客が到着する頻度などの情報を把握する必要があります。
このタイプのデータをFlexSimに入力するには、ビジネスシステムを検証するか、その他のデータ収集方法を使用して、ビジネスシステムの正確なモデルをFlexSimで作成するのに必要な情報を取得する必要があります。このトピックでは、有用なデータを収集するさまざまな方法について説明します。
履歴データを使用する
必要な有用データはすべて、すでに揃っている場合もあります。施設で顧客や作業指示書などの自動追跡を使用している場合、それを追跡しているコンピュータから該当データを取得できる可能性があります。その場合は、そのデータを使用して特定の処理または一連の処理に適した統計分布を決定できます。特定の期間にわたってコンピュータから統計データを取得する場合は、施設のIT管理者に相談してください。ビジネスシステムの正常な状態を表すのに十分なデータを収集するようにしてください。
タイムスタディを行う
タイムスタディでは、特定のタスクまたは処理を直接的かつ継続的に検証し、処理に要する時間を決定します。検証者は多くの場合、計時デバイス(ストップウォッチやビデオカメラなど)を使用してタスクを達成するのに要する時間を記録します。検証者は、長期にわたって複数回タスクを検証し、各処理に要する時間を毎回記録します。独自にタイムスタディを行う場合、タイムスタディの実施に関するさまざまな無料ガイドをインターネットで入手できます。また、必要に応じてタイムスタディのプロジェクトを進んで実施するコンサルティング会社もあります。
ビジネスを直接検証する
自社のビジネスシステムで何が起こっているのか、自問するだけで済ませてはいけません。実際に現場に出向き、直接確かめてください。ビジネスシステムを直接検証する際に、顧客、材料、情報のフローを実際の経路に沿って回ってみることをお勧めします。まずはビジネスシステムの全工程をすばやく検証し、材料と情報のフローの全体像を把握します。最終的な目標は、現場の人々とリアルタイムで対話し、実際に検証することです。
従業員にインタビューする
すべてのスタッフにインタビューし、特定の処理に要する時間を概算してから、そのデータを使用して待機時間と処理時間のおおよその所要時間を求めることができます。従業員のインタビューは元々主観的ですが、このタイプの情報は、少なくとも根拠のある推測をするのに役立ちます。
根拠のある推測をする
信頼度90%の範囲で根拠のある推測をする優れた方法はいくつかあります。ダグラス・ハバード氏の著書『How to Measure Anything: Finding the Value of "Intangibles" in Business』(本稿執筆時点で第3版)の一読をおすすめします。この本では、直接検証するには費用や難易度が高すぎる測定値を推測する有効な方法について説明しています。
感度分析を行う
前のセクションで説明した各データ収集方法には、ある程度の時間とお金の投資が必要です。一部の方法はリソースを集中的に使用します。たとえば、タイムスタディは最も費用がかかりますが、従業員のインタビューや根拠のある推測をする場合、ほとんど費用はかかりません。費用のかかるタイムスタディを行う前に、この調査から得られる情報にその費用に見合うだけの十分な価値があることを確認します。結果的にシミュレーションプロジェクトで重要でないデータに時間とお金を消費することは望ましくありません。
費用が見合っていることを確認する効果的な方法に、感度分析があります。感度分析を実行する場合、最も費用のかからないデータ収集手法(根拠のある推測など)でシミュレーションモデルの構築を始めます。その後、シミュレーションモデルの最初のプロトタイプを作成したら、モデル入力を変更して主要なメトリックへの影響を監視し、モデル入力(顧客到着率や処理時間など)をテストします。この分析を実行すると、主要なメトリックに最も影響を与えるモデル入力を確認できます。これにより、シミュレーションプロジェクトで最も価値の高いモデル入力を判断できます。つまり、費用がかかるデータ収集手法を使用して品質の高いデータを得る価値があるモデル入力がどれであるかを把握できます。