3Dオブジェクトを使用する理由

3Dオブジェクトを使用する理由

FlexSimでは、シミュレーションするシステムの3Dモデルを作成することも、処理フローツールのみを使用して純粋に理論モデルを作成することもできます。モデル作成の初期段階で、特にモデルの範囲と目的を決定している間に、処理フローツールを使用して理論モデルを構築することは有益です。ただし、次のセクションで説明するように、いくつかの重要な理由からある時点で3Dモデルを構築することを検討します。

モデルバリデーション

シミュレーションモデリングの重要な原則の1つは、モデルから良好なデータを得るために、良いデータをモデルに入れる必要があることです(詳細については、「データ収集方法」を参照してください)。そのため、シミュレーションモデルの最初のドラフトを常にテストして検証し、ビジネスシステムを正確に表しているかを確認します。

幸い、3Dモデルはさまざまな理由でかなり簡単に検証できます。1つの理由は、3Dモデルが物理的な実際の施設レイアウトを根拠としている点です。純粋に理論的なモデルを構築することの欠点の1つは、モデル内の特定の物理的な現実を見落としたため、いくつかの間違った仮定をする可能性があるいう点です。

たとえば、3Dモデルでは、オブジェクトがある場所から別の場所に移動するのにかかる時間をより正確に表すことができます。3Dモデルでは、距離や速度のような単純なものだけでなく、オブジェクトの経路、パス内での他のオブジェクトとの相互作用なども考慮に入れることができます。これらの空間的相互作用は、純粋に理論的なモデルではシミュレーションするのが非常に困難です。

もう1つの理由は、3Dモデルを実際に動かしてみると、現実的ではないものがより明らかになるという点です。間違った仮定に基づく間違いは、シミュレートしているビジネスシステムと見た目も感覚も違うため、シミュレーション実行すると一目瞭然となります。3Dモデルはより直観的で現実的なため、シミュレーションモデルを構築する処理上で発生する可能性のあるエラーを削減します。

使いやすさ

場合によっては、純粋に理論的な処理フローモデルで特定の動作や条件をモデル化する方が簡単です。たとえば、処理フローでカスタムロジックを作成する方が簡単な場合がよくあります。しかし、3Dオブジェクトを使用する方が簡単となる状況がまだ数多くあります。FlexSimのライブラリオブジェクトの多くは、生産ラインなどのさまざまなビジネスシステムに一般的な組み込みロジックを使用しています。作成しているシミュレーションモデルの種類によっては、実際に3Dモデルを構築する方が簡単な場合があります。

物語を伝える

ステークホルダーや新入社員とのコミュニケーションが必要なときには、3Dモデルが視覚的であるため、グラフ、統計、PowerPointプレゼンテーションより効果的な場合があります。3Dモデルは、技術や工学的な背景を持たない主要意思決定者とのコミュニケーションにおいて特に効果的です。たとえば、システムに問題が発生していることを示すには、ステークホルダーに一連のグラフやチャートを見せることが効果的な場合があります。しかし、通常、3Dモデルでキューの中に積み重ねられた箱の大きな束を見る方がより強力です。

別の現実の例としては、以前FlexSimの3Dオブジェクトはクライアントが収益性の高い国際的なビジネス取引の確保の助けとなりました。クライアントとその外国の顧客との間には、重要な言語と文化の障壁があり、ビジネス取引は拒否される危険性がありました。しかし、クライアントはFlexSimで提案されたビジネスシステムの3Dモデルを構築し、そのシミュレーションモデルの動画を主要なビジネス意思決定者に送りました。ステークホルダーは3Dモデルを見るとすぐに提案のビジョンを理解でき、そのビジネス取引は承認されました。

この章の後半で3Dオブジェクトの使用方法を学ぶことにより、より正確なシミュレーションモデルを構築し、アイデアをできる限り効果的に伝えることができるようになります。