分布セレクターを使用する

分布セレクターについて

FlexSimを他のシミュレーションツールと差別化する1つの機能として、シミュレーションモデルに多少の変動性やランダムさをすばやく簡単に組み込めることが挙げられます。FlexSimを使用すると、ビジネスシステムのさまざまな変動をシミュレーションできます。こうした数式を作成するために複雑な数学やプログラミングを知っている必要はありません。FlexSimには、任意の種類の乱数をランダムに算出するための適切な統計分布の選択に役立つ、分布セレクターというツールがあります。分布セレクターを使用すると、選択したオプションに基づいて数式が作成され、日々の需要や処理時間の設定に自動で適用されます。

分布セレクターは次の画像に示されています。

分布セレクターを使用すると、30の統計分布から乱数を生成する方法を選択できます。頻繁に使用される分布の概要については、「よく使用される統計分布」を参照してください。

各統計分布の設定を変更すると、さまざまな基準や数値の範囲を使用して乱数を生成できます。設定を変更した場合、青色の棒グラフが更新され、特定の数値が生成される確率が表示されます。

分布セレクターを使用する

多くのオブジェクトプロパティで統計分布を使用できます。これらのプロパティで分布セレクターを使用するには、次のようにします。

  1. プロパティの横にある矢印をクリックしてメニューを開きます。
  2. 統計分布]を選択して分布セレクターツールを開きます(下の画像を参照)。

  3. 必要に応じて[分布]メニューをクリックし、異なる数学的分布を選択します。
  4. その数学的分布の特定のパラメータを編集して、特定の数値の範囲と生成される確率を調整します。
  5. 棒グラフを使用して確率が正確と見られるかどうかを確認し、必要に応じて調整を行います。
  6. 分布セレクターの外側をクリックしてツールを閉じます。プロパティのボックスに、指定したパラメータに基づく数式が表示されるようになります。
  7. 別の分布を選択する必要がある場合、またはパラメータを編集する必要がある場合は、プロパティの横にある[プロパティ]ボタン をクリックして分布セレクターを再度開くことができます。あるいは、プロパティのボックス内をクリックして、数学的分布を直接編集することもできます。

さまざまな分布とそのパラメータの詳細については、このセクションの次のトピックを参照してください。

よく使用される統計分布

最もよく使用される分布は次のとおりです。

  • 指数 - ある数値の範囲の先頭付近から多くの数値をランダムに選択します。目盛りの終わり付近の数値が生成される頻度は指数関数的に減少します。これは実世界で最も一般的な分布方法であるため、デフォルトの分布方法です。
  • Duniform - 特定の範囲内の任意の整数をランダムに選択します。小数点のある数値を含めることができるようにするには、代わりに一様分布を使用します。
  • 正規 - 分布曲線の中央にある数値がランダムに生成される可能性が高い、ベル曲線に似た分布方法です。
  • 三角 - 正規分布に似ていますが、分布曲線の中央にありランダムに生成される可能性が高い数値の範囲が、正規分布と比べて広くなっています。
  • 一様 - 特定の範囲内の任意の数値をランダムに選択します。一様分布には、小数点のある数値が含まれます。整数のみを生成する場合は、代わりにDuniform分布を使用してください。

これらの各分布について、以降のセクションで詳しく説明します。

指数分布

指数分布では、数値の範囲の先頭付近から多くの数値をランダムに選択します。目盛りの終わり付近の数値が生成される頻度は指数関数的に減少します。これは実世界で最も一般的な分布方法であるため、デフォルトの分布方法です。次の画像は、指数分布の例を示しています。

指数分布には次の3つの設定があります。

  • 場所 - 数値の範囲の先頭を設定します。生成される乱数の大部分は、このパラメータに使用する数値にほぼ近くなります。
  • スケール - 分布の平均を設定し、曲線の全体的なピッチに影響を与えます。
  • ストリーム - これらの乱数を生成するために使用するFlexSimの乱数ストリームを決定します。通常、このパラメータを編集する必要はありません。

設定を変更した場合、青色の棒グラフが更新され、特定の数値が生成される確率が表示されます。通常、指数分布の棒グラフはあまり変化しませんが、グラフの最下部に表示される数字の範囲が変わります。

Duniform分布

Duniform分布では、特定の範囲内の数値をランダムに選択します。小数点のある数値を含めることができるようにするには、代わりに一様分布を使用します。次の画像は、Duniform分布の例を示しています。

Duniform分布には次の3つの設定があります。

  • 最小 - ランダムに生成される可能性のある最小の数字です。
  • 最大 - ランダムに生成される可能性のある最大の数字です。
  • ストリーム - これらの乱数を生成するために使用するFlexSimの乱数ストリームを決定します。通常、このパラメータを編集する必要はありません。

正規分布

正規分布は、次の画像に示すとおり、分布曲線の中央にある数値がランダムに生成される可能性が高い、ベル曲線に似た分布方法です。

正規分布には次の3つの設定があります。

  • 平均 - ランダムに最も多く生成される、平均の数値です。
  • 標準偏差(Std Dev) - 平均に対する相対的な値の変動量または分散量です。標準偏差が低いと、数値が平均に非常に近くなります。標準偏差が高いと、平均からより広く分散した数値が生成されます。
  • ストリーム - これらの乱数を生成するために使用するFlexSimの乱数ストリームを決定します。通常、このパラメータを編集する必要はありません。

三角分布

三角分布は正規分布に似ていますが、次の画像に示すとおり、分布曲線の中央にありランダムに生成される可能性が高い数値の範囲が、正規分布と比べて広くなっています。

三角分布には次の4つの設定があります。

  • 最小 - ランダムに生成される可能性のある最小の数字です。
  • 最大 - ランダムに生成される可能性のある最大の数字です。
  • モード - ランダムに生成される数字のうち最も頻繁に生成されるものです。
  • ストリーム - これらの乱数を生成するために使用するFlexSimの乱数ストリームを決定します。通常、このパラメータを編集する必要はありません。

一様分布

一様分布は、特定の範囲内の数値をランダムに選択します。一様分布には、小数点のある数値が含まれます。整数のみを生成する場合は、代わりにDuniform分布を使用してください。次の画像は、一様分布の例を示しています。

一様分布には次の3つの設定があります。

  • 最小 - ランダムに生成される可能性のある最小の数字です。
  • 最大 - ランダムに生成される可能性のある最大の数字です。
  • ストリーム - これらの乱数を生成するために使用するFlexSimの乱数ストリームを決定します。通常、このパラメータを編集する必要はありません。