コンベヤについての主要な概念
コンベヤを使用する理由
コンベヤシステムを事業施設に設置するには、一般にかなりの費用が伴います。また、既存のコンベヤシステムを変更する場合にも費用がかかることがあります。FlexSimを使用すると、コンベヤシステムを構成してスループットを最大化する理想的な方法が見つかるまで、リスクを負うことなく実験できます。
FlexSimには、主に、離散アイテムコンベヤとマスフローコンベヤという2種類のコンベヤがあります。離散アイテムコンベヤは、通常は単に「コンベヤ」と呼ばれ、離散フローアイテムの移動をシミュレートします。マスフローコンベヤでは、個別のアイテムをシミュレートする代わりに、システム全体でフローレートと製品密度の移動をシミュレートすることによって、ボトル飲料や食料品の生産システムといった大量、高速の生産モデルを構築できます。
離散アイテムコンベヤの機能
FlexSimのコンベヤオブジェクトには、いくつか便利な機能があります。
- フォトアイ、決定点、ステーション - フォトアイ、決定点、ステーションを使用すると、ルート検索/決定/コントロールロジックをコンベヤシステムのどこにでも配置できます。単純な移動/回転ロジックからエリア制限や洗練された処理フローのトリガーに至るまで、コンベヤシステムで定義されたポイントでのロジックの実行が驚くほど簡単になります。
- 柔軟な移動コントロール - FlexSimのコンベヤシステムには、速度、遅延時間、ポップアップ距離など、コンベヤ間のアイテムの転送方法をコントロールするさまざまなオプションがあります。必要に応じて、コンベヤの片側にアイテムが集積されるようにコンベヤのローラーのスキュー角度を調整することもできます。また、コンベヤに沿って移動する際にアイテムを傾斜、平行移動、回転することもできます。
- アイテムの向き - コンベヤ上のアイテムの向きを定義できます。この向きは複数のセクションにわたって自動で維持され、アイテムがサイド転送を経由して転送される際にオブジェクトの向きに一致するように計算が更新されます。
- パワー&フリー - コンベヤシステムでは、パワー&フリーシステムで、ドッグチェーンでのアイテムの固定間隔動作をシミュレートできます。
- スラッグの構築と統合コントロール - コンベヤにアイテムのスラッグを集積し、スラッグの準備ができたらリリースするコンベヤを作成できます。この機能を統合コントローラーオブジェクトや処理フローツールと組み合わせて使用すると、カスタムコードを記述しなくても簡単に鋸歯状の統合を実装できます。
- 範囲ベースの転送点 - オペレーターは1つの固定ポイントではなく、コンベヤに沿って有効な転送点の範囲からアイテムをピックアップまたはドロップできるため、ピックオペレーションを簡単にシミュレーションできます。コンベヤからアイテムをピックするときに、オペレーターはアイテムの速度、オペレーターの速度、距離に基づいてコンベヤの適切なピックアップポイントを自動で予測します。
マスフローコンベヤの機能
FlexSimのマスフローコンベヤオブジェクトには、いくつか便利な機能があります。
- 高速シミュレーション - FlexSimのマスフローコンベヤは個別のアイテムをシミュレートしないため、ボトル、カートン、缶などの数がいくつであっても(数百、数千、数百万でも)、その生産を簡単にシミュレートできます。この設計では、実行速度の制約となるのは、生産する「単位」の数ではなく、フローレートの変更頻度のみです。そのため、一般的に1日分の生産を数秒以内でシミュレートできます。
- 高忠実度のグラフィックス - FlexSimのマスフローコンベヤは個別のアイテムを追跡するわけではありませんが、マスフローコンベヤシステムの革新的なレンダリングアルゴリズムにより、(個別には追跡されないとしても)コンベヤを流れる個々のボトル、カートンなどを描画することができます。このような高忠実度のグラフィックスは、トラブルシューティングだけでなく、アイデアを意思決定者に売り込むときにも大きな役割を果たします。
- 洗練されたフローレート分割 - フローを複数のコンベヤで分割すると、FlexSimのフロー分配アルゴリズムが直感的に機能し、広い方のコンベヤがフローの大きい方の部分を自然に受け取ります。さらに、フローの下流を分割するときの優先度をカスタマイズすることができます。
- ボトル/缶/カートンに複数のタイプを設定可能 - FlexSimのマスフローユニットでは、製品にさまざまなタイプのジオメトリを設定できます。こうしたさまざまなタイプの製品をシステムに送ると、コンベヤがフロー単位の寸法と属性に基づいてフロー密度、容量、フローレートを自動的に計算します。
- フォトアイ - FlexSimの標準のコンベヤフォトアイは、マスフローコンベヤでも使用できます。入力する一部のプロパティは異なるものの、フォトアイを使用して、特定のフローレートが発生した時点やシステムがある点まで集積した時点でロジックをトリガーすることができます。
- 簡単なフロー生成 - 個別のコンベヤから直接、フロー生成を簡単に行うことができます。また、マスフロー入口の転送を使用して、離散アイテムをマスフローレートに変換することができます。
コンベヤモデルの構築の概念の多くは、マスフローコンベヤと通常のコンベヤのどちらにも該当します。たとえば、コンベヤを作成して接続する方法は、どちらのコンベヤタイプでも同じです。ただしその他の、コンベヤロジックの作成などの概念については、ユーザーマニュアルのこのセクションでは、主に通常の離散アイテムコンベヤについての記述となっています。マスフローコンベヤの詳細については、マスフローコンベヤに関する参照トピックを参照してください。
コンベヤシステムの設定
コンベヤシステムのプロパティウィンドウを使用して、シミュレーションモデル内のすべてのコンベヤオブジェクトのデフォルトプロパティを設定できます。たとえば、カスタムコンベヤタイプを作成してから、コンベヤシステムツールを使用して、作成する新しいコンベヤごとに自動でそのタイプが割り当てられるように設定できます。コンベヤシステムのプロパティを使用して、コンベヤシステムのビジュアル設定を変更することもできます。詳細については、「参照 - コンベヤシステム」を参照してください。